読書の秋
夜のしじまに鈴虫たちが優しく鈴を振って秋の訪れを知らせてくれる季節となりました。
あまりにも蒸し暑い日本の夏がようやく過ぎ去った感じでほっと心和む季節となりました。
シルバーウィークと名づけられたこの時期、観光地の喧騒を避けて家で静かな時間を過ごすのが好きです。
とりわけ秋は大好きな本を片手にイギリスの素朴な胚芽入りダイジェスティブ・ビスケットやジャムタルトにミルクたっぷりの温かなミルクティーを楽しみながら、読書タイムを見つけて心豊かに過ごしたくなります。
二十歳の時に、当時フランス料理のコックさんをしていたペコちゃんから「すごく良い本だからよかったら読んでみてね。」とプレゼントしてもらったいくつもの大きな紙手提げにずっしりと入れられた何十冊もの小説...。ヘミングウェイ、フィッツジェラルド、サマーセット・モーム、サリンジャー、etc....。心豊かにしてくれるたくさんの本全てを読むことはできなかったけれど、私は愛読書の聖書をお礼にプレゼントして、その後再会するまでペコちゃんに会うことはなかったの。
3年後にふとしたきっかけで再会した時、「あれからさらに良い本を見つけたよ!」と、シェフになったペコちゃんが紹介してくれたさらに数々の小説の中の一冊、とりわけ心に深く残った大好きな小説がイギリスの作家、ジェームズ・ヒルトン著のランダム・ハーベスト(邦題「心の旅路」)です。
事故がきっかけでそれまでの記憶を失ってしまったスミシーと踊り子ポーラとの純愛を描いた素晴らしい小説、ポーラの献身的な無私の愛に心が洗われる感動で胸が熱くなる素晴らしい小説です。(残念なことに絶版となってしまって図書館で取り寄せないと読むことができなくなっているのがとっても残念...。)
文庫本(角川書店?)、単行本(三笠書房だったかしら?)訳者によっても随分雰囲気が違ってしまうのですが、当時あまりに感動しすぎて両方読んでみました。 どちらのほうがよかったかしら?...復刊されることをとってもとっても願ってます!
こんなにも純粋に無私に愛することの素晴らしさに心が感動し過ぎて、しばらく眠れなくなったほどです。
戦前の1942年にロナルド・コールマン(スミシー)、グリア・ガースン(ポーラ)によって演じられ早くも映画化された小説ですが、早いテンポであっという間に時が短縮されて流れる映画(原作に忠実にかなりよくできているのですが...最後がいきなり終わってしまう感じが残念...。終局への余韻がもう少しあったら...)とはやはり比較できないほど小説のほうが断然素晴らしいのです。
機会があったら図書館でぜひ見つけて心豊かなひとときを過ごされてくださいね。(「心の旅路」の邦題で他の作家の作品もたくさん出版されていますので、間違えそうになるのですが、著者がジェームズ・ヒルトンのものを探されてくださいね。ヒルトンには他に「チップス先生、さようなら」、「失われた地平線」他、素晴らしい数々の作品があります。読書の秋なので、今度ペコちゃんにお奨めを紹介してもらいましょう!(ペコちゃんいわくウィリアム・H・ハドソンが1904年に発表した小説「緑の館」もヒルトンの「失われた地平線」とともに幻想的とのことです)
私にとってこれまでに読んだ小説の中でNo.1はジェームズ・ヒルトンの「心の旅路」、No.2がポール・ギャリコの長編小説「ジェニー」、No.3は同じギャリコの短編「スノーグース」と「まぼろしのトマシーナ」、どちらも人間味溢れる優しさに満ちています。大好きなギャリコについてはまた別の機会にお話させてくださいね。
K's Rose Gardenの可愛いフェアリーも読書が大好き...。一体何を読んでいるのでしょうね?今度こっそり聞いてみましょう。(Kao)
** 英国雑貨&フレンチカントリー雑貨 English Rose Cottage(イングリッシュローズコテージ)**
** バラ柄のフレンチ雑貨&ロマンティックカントリー イングリッシュローズコテージ別館 **
** K's Rose Garden - イングリッシュガーデンに憧れて **